みなさん、窓のリフォームを考えたことはありますか?
家のリフォームといえばお風呂やキッチンなどの設備系か、屋根や外壁をイメージされると思います。
こういうものは、劣化をするので新しくする感覚ですよね。
一方、窓のリフォームは家電の買い替えに近いものです。
窓に使われているガラスは劣化がしにくく使えてしまいます。
しかし、音や熱のほとんどは窓ガラスを伝っているのです。
音や熱を遮断する性能を『遮音性能』『断熱性能』といいますが、技術の進歩によりガラスの性能がどんどん上がっていっています。
さらに環境問題も相まって、住宅に求められる性能が年々上がっていっているので、今お使いの窓ガラスの性能が基準に比べ相対的に悪くなっていくのです。
もう何十年も窓ガラスがそのままだという場合は、高断熱ガラスなどの高性能なガラスに交換するとよいでしょう。
ガラスが結露するというのは、今の新築の基準ではほとんどないことです。
技術が、環境問題がと色々理由を付けましたが、窓ガラスの性能が生活の質に直結するので、シンプルに快適になります!
この記事では、窓ガラスの交換リフォームのメリットや費用などを紹介します。

みなさんの参考になればうれしいです!
なぜ窓ガラスを見直す必要があるのか?
普通に使えているし、窓ガラスって割れた時に交換するもんじゃないの?と思われている方も多いと思います。
リフォームという言葉には色々なニュアンスが含まれているので一回整理しておきましょう。
修繕:
現状と同じものや同じグレードに戻す工事。修理や補修と同じように使います。
リフォーム:
今使っているものよりも良いものを入れなおす工事。グレードアップですね。
リノベーション:
今使っているものを刷新し、新たに良いものを作る工事。間取りなどが絡むイメージです。
ガラスが割れたから、同じものを入れるというのは『修繕』ですので生活の質は今までと変わりません。
グレードの良いガラスに入れ替えたいというのは『リフォーム』ですので、生活の質が上がります。
この記事ではリフォームの紹介をしていきますが、もし割れたガラスを何とかしたいと思われている方も、この機会にグレードアップを検討してみるのも良いかもしれません。
割れていなくても、熱や錆が原因でヒビが入ることがあります。
それぞれ『熱割れ』『錆割れ』と呼びますが、ヒビが入っているのは良くないので合わせてチェックしてみてください。

熱割れの特徴は、四方から垂直にヒビが入っている、というところです。
本題の、なぜ窓を見直す必要があるのかということですが、過去主流だった1枚ガラスの性能が悪すぎるからです。
住宅の性能を表す基準に『断熱等性能等級』というものがあります。
新築を建てる際に求める基準はどんどん厳しくなっており、それはつまり省エネで健康と環境と家計に良い家になっているということです。
一方築年数の古い家は相対的に等級が下がっているのです。
昭和55年の基準に満たない住宅を『無断熱住宅』と呼びますが、日本には無断熱住宅が30%あります。
参考:住宅リフォーム推進協議会

昭和55年って、45年前ですね…。
無断熱住宅は、その名の通り断熱できてない家です。
断熱ができていないと何が起こるかというと
ヒートショックなどの健康被害
冷暖房効率の悪さによる、電気代のアップ
外の音が遮断されない、騒音被害
があります。
窓リフォームによる恩恵をもっと知りたい方はこちらをご覧ください。
窓の性能が悪いと、最悪死に至る問題です。
そして窓において、最も熱を移動させ、なおかつ最大の面積を有しているのが『ガラス』という存在なのです。
したがって、健康リスク・家計の負担・生活の快適さには窓のリフォームが必要なお宅が多く、その中でも特に気にしていただきたいものが『ガラス』ということです。
窓ガラスのリフォーム方法と費用
窓ガラスのリフォーム方法には大きく4つあります。
①はつり工法
②カバー工法
③内窓
④ガラス交換
①はつり工法
壁を壊して今の窓を取り外し、新しい窓を取り付けなおす大規模な工事です。
これならサッシの性能とガラスの性能を同時に上げることができますが、費用と工事期間が多く必要になります。
期間:5日程度
費用:50万~
②カバー工事
窓は柱に取り付いている『枠』と可動できる『障子』でできています。
ガラスは障子に組み込まれています。
障子を外すと枠だけ残りますが、この残った枠の上に新しい窓の枠を縫い付ける工事をカバー工事といいます。
一日でできるのではつり工事に比べ、安く早くできる魅力がありますが、一回り小さくなるというデメリットもあります。
期間:一日
費用:20万円~

③内窓
窓の室内側を囲っている、ぬいぐるみや小物を置いたりするスペースを『窓枠』と呼びます。
ここにピッタリとハマるように設置する新しい窓を内窓といいます。
外の窓と内側の窓で2重になるので、この状態を二重窓といったりもします。
単純に窓を二枚にすることで、断熱性能と遮音性能を高められますし、工事内容もシンプルなので安く早いです。
窓リフォームにおいて最もコスパの良い工事といえます。
デメリットは、開けるときに二回開けなければいけないということですね。
期間:一日
費用:5万~15万

④ガラス交換
窓は『枠』と『障子』でできています。
障子には『框(かまち)』と『ガラス』があります。
框とは、ガラスを囲っているフレームのことです。
この框からガラスを外し、新しいガラスを入れることを『ガラス交換』工事と呼びます。

割れたガラスを交換するときもこうやってやっているんですよ!
枠と框は交換していないので、グレードアップができるのがガラス部分だけで、ガラスの厚みによっては交換できないこともあります。
しかし、ガラスを入れ替えるだけの工事のため簡単で、安く、その日のうちに終わります。
ガラスは窓で一番面積の大きい部分ですので、その分、効果も大きいです。
期間:一日
費用:3~10万
各工事ごとの比較
カバー工事 | はつり工事 | 内窓 | ガラス交換 | |
手軽さ | 〇 | × | ◎ | ◎ |
費用 | 〇 | × | ◎ | ◎ |
性能向上 | ◎ | ◎ | ◎ | △ |
種類 | ◎ | ◎ | 〇 | △ |
既存の状態 | 〇 | ◎ | 〇 | 〇 |
快適さ | ◎ | ◎ | 〇 | 〇 |
断熱ガラスってどんなガラス?
断熱ガラスには大きく3つあります。
■ペアガラス
■トリプルガラス
■真空ガラス
です。
ペアガラス
2枚ガラスの間に空気かガスを入れて密封したガラスです。
空気にも断熱性能はありますが、ガスのほうが熱を移動させにくくなっています。
今の新築の最低ラインの基準のガラスです。

トリプルガラス
3枚のガラスの間に空気やガスを入れて密封したガラスです。
ペアガラスよりもガラス1枚多く、空気の層が2層あります。
断熱を気にするならトリプルガラスがもっとも良いです。

真空ガラス
2枚のガラスの間の層を真空にしたガラスです。
熱はモノや液体や気体を伝って移動します。
熱したお湯がどんどん冷めていくのは気体やコップを伝って熱が移動しているからです。
空気やガスは熱を移動させにくいので断熱材にも使われていますが、そもそも移動する空気すらないというのが真空ガラスです。
ちなみに音も空気を振動して伝わりますが、振動する空気すらないので遮音性能も抜群にいいガラスです。


ガラス交換に使えるガラスとは?
リフォームが必要な窓に使われているガラスは一枚ガラスと呼ばれるものです。
一枚ガラスは3~5ミリの厚みしかなく、ガラスを入れる溝も9ミリしかない場合が多いです。
先ほど紹介したペアガラスは空気層も含めた総厚が22ミリ以上あります。
そのままでは入りません。
そこで、ガラスの溝に入るようにアタッチメントを付けた、ガラス交換専用ペアガラスがあります。
この『ガラス交換専用ペアガラス』か『真空ガラス』でガラス交換工事ができます。
トリプルガラスやアタッチメントなしのガラスにしたいという場合は、カバー工事や内窓などの別の工事方法でグレードアップしていきます。
真空ガラス
真空ガラスとは、2枚のガラスの間の層の空気を抜いて、真空にしたガラスです。
断熱性能と遮音性能が非常に優れており、内窓と組み合わせることでさらに効果を発揮するガラスです。
内窓にしなくても、外の窓のガラス交換工事で入れ替えることができ、十分効果を発揮します。
真空ガラスの商品名は『スペーシア』です。

スペーシアは、3ミリのガラス2枚と真空層0.2ミリの総厚6.2ミリでできています。
つまり、アタッチを付けなくても入れ替えることができるのです。
断熱性能 : 通常のペアガラスの2倍、一枚ガラスの4倍です。
遮音性能 : 防音ガラスと同じくらいあります。
遮音性能が非常に高いので、基地が近くにある地域の防音対策にも使われます。
断熱や遮音は体感してみないと効果が分かりにくいですが、遮音効果はすぐ実感することができます。
断熱性能も非常に優れているので、年間の冷暖房費を削減することができます。
もちろん、結露とかしません。

スペーシアの参考価格は以下の通りです。
●「スペーシア」 透明6.2ミリ品で材料代として49,500円/㎡程度です。
※なお、一枚のガラス面積が0.3㎡以下の場合は大きさに関係なく1枚あたり23,100円となります。
参考:日本板硝子公式サイト
例えば、窓の大きさが、横幅1600ミリ×縦900ミリの引き違い窓とします。
ガラスの大きさを、横幅800ミリ×縦900ミリ×2枚として計算すると、
式 : 0.8m×0.9m=0.72㎡
0.72㎡×49,500円=35,640円
35,640円×2枚=71,280円
となりますので、大体7~8万円ほどとなります。
東京地域での冷暖房費削減効果は、年間で43,000円ほどですので、2年程度で元が取れる計算になります。
初期費用としてのガラス代は確かに高いですが、それ以降は置いてあるだけで節約になるので、窓のリフォームはかなりコスパが良いものだと思います。

スイッチングコストだけでなく、ランニングコストも計算してみるといいですよ!
アタッチ付きペアガラス
一枚ガラス用の溝にペアガラスは入らないので、先端を窄めたアタッチメントを付けたペアガラスです。

大掛かりな工事が必要なく、ぺガラスに交換することができるので、簡単に生活の質を上げることができます。
しかし、デメリットもあり、アタッチ部分がガラスに被るので、ガラス面積が小さくなってしまうのです。

私は真空ガラス派です!
商品は
AGC 『ペヤプラス』
YKK AP 『アタッチメント付き複層ガラス』
がおすすめです。
参考価格は、AGC『ペヤプラス』が、39,900円/㎡ですので、真空ガラスより1万円ほど安いイメージですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、いくつかある窓リフォームの工事方法の中の、ガラス交換工事を取り上げました。
ガラス交換工事は、手軽で安価にできるという特徴があります。
窓において、ガラスは一番面積のある部分ですので、ガラスを良いものにするのはとても重要なことです。
特に真空ガラスは、価格が高い分、効果も高い、良い商品です。
価格が高いといっても、節約効果が凄まじいので数年~で元が取れてしまいます。
断熱や遮音効果を実感しながら、良い生活空間を作る参考になればうれしいです。

最後までお読みいただきありがとうございます!
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