なんで窓のリフォームが重要なのでしょうか?
それは、窓が『光と風を取り入れることのできる壁』だからです。
窓の役割は採光と採風です。
これは『窓の機能』と言えます。
一方、壁としての役割に目を向けると
・断熱性能
・水密性能
・気密性能
・遮音性能
・耐風圧性能
という『窓の性能』も同時に必要になってくるのが分かります。
開けて換気ができるから、光を取り入れられるからって結露していいはずはありません。
今は結露を含めた、窓の製品としての性能が上がってきています。
しかし窓は、家を建てたらそのままにしている場合が非常に多いのです。
ひと昔、ふた昔前の性能のまま過ごしている家を『無断熱住宅』と呼び、日本の30%ほどあります。
この、家の性能を下げている原因がまさに『窓』なのです。
家電や家具が古くなったら交換しますし、お風呂やトイレといった設備も交換しますが、窓って交換するイメージないですよね?
もし、
・冬に窓が結露する
・冷房、暖房の費用が高すぎる
・外の音が気になる
・すき間風や雨がうっすら入ってくる
・冬に底冷えする
・リビングは暖かくしても、脱衣所やトイレはめちゃくちゃ寒い
・夏も窓周りが暑すぎる
といったことに心当たりがあれば、無断熱住宅の可能性があります。
断熱している窓であれば、よっぽど室内外の温度差がひどいとか、過剰に加湿しまくっているといったことがない限りガラスにも結露はしません。
この記事では、窓を替えるとどんないいことがあるのかを紹介していきます。

みなさんの生活の知恵として、普段目を向けない窓のことを知っていただけると嬉しいです!
家の問題はだいたい窓が関係している
家の不満にはこんなことがあるのではないしょうか。
- 夏のきつい西日
- 冬の結露
- 冬の底冷え
- 外からの音
- 強風時のガタガタ
- すき間風
- なかなか冷房、暖房が効かない
- 台風時の飛来物被害
- 雨が降っているときの防水
窓目線で見ているとは言え、家の問題は大体窓が原因です。
もっといえば、冒頭でお話しした窓の『性能』が原因です。
窓の性能とは?
窓の性能には、
断熱性能:熱の移動がどれくらいあるのか。Hで表し、H-1~H-8の8段階あります。
気密性能:すき間風がどれくらい入ってくるか。Aで表し、A-1~A-4の4段階あります。
遮音性能:音をどれくらい遮るのか。Tで表し、T-1~T-4の4段階あります。
水密性能:どれくらいの雨水浸水に耐えられるか。Wで表し、W-1~W5の5段階あります。
耐風圧性能:どれくらいの風圧に耐えらえるか。Sで表し、S-1~S-7の7段階あります。
の5つあります。
もう少し細かいことをいうと、防火や防犯の性能もありますが、家の快適さを気にするにはこの5つさえ押さえておけば問題ありません。
窓は、サッシとガラスの組み合わせのことです。
サッシとは
サッシとは、フレームの部分です。
実はこのサッシにも種類があります。
なにが違うのかというと、『材質』です。
材質によってグレードがありますが、大きく3グレードです。
アルミサッシ < ハイブリッドサッシ < 樹脂サッシ
アルミサッシ
アルミを使ったサッシで、安く、加工がしやすい特徴があります。
ひと昔のサッシはこれでした。
アルミ缶の飲み物を冷やしてみると一発で分かりますが、缶自体が冷えていますよね。
アルミは熱を移動させる達人なのです。
この、熱を移動させる伝導の良さを『熱貫流率が良い』といいますが、住宅にとって熱還流率が良いのはまずいのです。
アルミ缶のジュースはキンキンにしやしたいところですが、住宅をキンキンに冷やすと病気になります。
アルミサッシの時点でグレードアップを検討したほうがよいでしょう。
樹脂サッシ
樹脂とは、プラスチックのことです。
つまり、プラスチックでできたサッシを樹脂サッシと呼びます。
アルミサッシに比べ、熱貫流率は1000倍悪いです。
つまり、アルミサッシに比べ、1000倍熱を移動させにくいサッシとなります。
プラスチックって、すぐ劣化しちゃうんじゃないの?と思うかもしれませんが、こんな感じのパイプをイメージしてください。
塩ビと呼ばれる、塩化ビニル樹脂と呼ばれる材質が使われているので劣化にも強いです。
デメリットは、アルミサッシに比べて金額が高いことです。
その分、長期的にみると冷暖房費削減や健康被害の回避などで結局お得になります。
なにより、日々の生活が快適になるので、コスパの良い投資とみることもできるでしょう。

ハイブリッドサッシ
外側にアルミ、内側に樹脂を使ったサッシをハイブリッドサッシと呼びます。
オール樹脂に比べ価格は安くなりますし、オールアルミに比べ性能が高くなります。
いい所どりをした、良いサッシです。
日本には、地域によって求められる断熱レベルが異なります。
この地域区分を『省エネ地域区分』と呼びます。
北海道は1、青森は3、東京は5、沖縄は8という感じです。
東北地域よりも南側、茨城や群馬より南側は樹脂ではなくハイブリッドサッシでも十分通用します。
樹脂でもオーバースペックではありませんし、予算があれば樹脂にすべきですが、ハイブリッドサッシでも快適に過ごせます。
サッシを選ぶ際は、ハイブリッドサッシか樹脂サッシで選びましょう。
その際の基準は、予算と地域を見ると良いです。
地域区分はYKK APのサイトが見やすくておすすめです。
ガラスとは
ガラスにはたくさん種類がありますが、押さえておきたいのは3種類です。
シングルガラス(一枚のガラス) < ペアガラス(二枚のガラス) < トリプルガラス(三枚のガラス)
シングルガラス

一般的には、1枚ガラスや単板(たんいた)と呼びます。
厚みは、3ミリ~5ミリのものが多く、特にアルミサッシと組み合わせて使っています。
考えてみると当たり前ですが、3ミリのガラスで壁の役目は果たせるわけがありません。
断熱性能とかの前に、なんの性能も持ち合わせていないのです。
結露するのは、この1枚ガラスのものです。
これは、アルミサッシ同様すぐにグレードアップをしたほうがよいでしょう。
アルミサッシ+シングルガラスの組み合わせが多い住宅とは、『賃貸の物件』です。
自分が住むわけではないのでチェックがおろそかになりやすいですが、資産価値や入居者募集の面で窓が優れていると有利に働きます。
ペアガラス

二枚のガラスの間に「乾燥した空気」か「ガス」を入れたガラスをペアガラスと呼びます。
ペアガラス以上の性能を持つガラスを、『断熱ガラス』と呼びます。
ここからようやく断熱性能の話が出てくるのです。
アルミサッシとも組み合わせてある場合がありますが、非常にもったいないと感じてしまいます。
ペアガラスを使うときは、ハイブリッドサッシと組み合わせるのが良いです。
空気には断熱性能があり、カーテンを閉めると暖かくなるのも、窓とカーテンの間に空気の層ができるからです。
カーテンでは、上下左右が開いているので密閉できませんが、ペアガラスは二枚のガラスで空気を密閉しているので断熱性能があります。
トリプルガラス

これは三枚のガラスで空気やガスを密閉したガラスです。
間のガラスは、内外のガラスよりも薄くなっているので、なるべく軽くする工夫がされています。
一般住宅では、最高レベルの断熱性能のあるガラスです。
樹脂サッシと組み合わせて使うのが、効果抜群となります。
窓をリフォームすると得られるメリット
静かになる
窓リフォームのメリットを伝えるうえで最も難しいのは、メリットが体感によるものだからです。
それでも、遮音効果は分かりやすく効果を実感できます。
窓を替えた直後に、外の音がシャットアウトされる感じは感動すると思います。
電気代が削減される
エアコンは、27度に設定した場合、冷房は27度まで下げて、暖房は27度まで上げるようにできています。
つまり、27度付近の室温に保てたら、エアコンの消費電力もそんなにかかりません。
これを『断熱』と呼びます。
断熱窓は紹介した通りで、樹脂サッシやハイブリッドサッシ、ペアガラスやトリプルガラスにすることで住宅を断熱できます。
電気代が減ってびっくりすると思います。
健康リスクの回避
部屋の温度差がひどいと、ヒートショックになるリスクがあります。
ヒートショックについては、こちらの記事で詳しく解説しているのでよければ読んでください。
家全体を断熱できると、脳や心臓への負担を軽減します。
さらに、結露が原因のカビも健康には良くないです。
結露がなくなるので、カビもなくなります。
家事の負担軽減
結露でびしょびしょの窓を拭くのは結構大変じゃないですか?
冷たいし、窓の周りは寒いです。
結露がなくなりますし、窓周りは冷たくなりません。
窓をリフォームするには?
ガラス交換
窓は、『サッシ』と『ガラス』でできていましたね。
あのガラスのみを交換することができるのです。

メリット:費用が安い。すぐ終わる。ガラスの結露が軽減される。
デメリット:サッシ部分は交換しないので、アルミサッシの場合には効果半減。
予算:3~10万円程度、大きさによる。
ガラス交換は、手軽な分、サッシの交換はしないので私からすると少し物足りなく感じます。
余裕があればサッシまでの交換をおすすめしますが、窓において、ガラスが一番面積を占めていますので効果は実感しやすいでしょう。
ちなみに、シングルガラス→ペアガラスに交換する場合、ガラスが厚くなりますので、そのままでは入れ替えることができません。
そこで、アタッチを使って先をしぼめるか、真空ガラスを使います。
ガラス交換のさらに詳しいことを知りたい場合はこちらをご覧ください。
真空ガラスの詳しい紹介はこちらをご覧ください。
内窓設置
窓の周りの囲いを『窓枠』と呼びます。
ぬいぐるみや小物を置いている方もいらっしゃると思います。

この窓枠にぴったりくっつけるようにはめ込む窓を『内窓』と呼びます。
外の窓と二重になるので、この状態を二重窓と呼びます。

メリット:安い。すぐ終わる。窓枠を囲うので断熱・遮音効果が高い。
デメリット:外窓は交換していないので、外窓は結露する。開閉が2回必要になる。
予算:5万円~15万円程度。
内窓は、窓リフォームにおいてコスパがもっとも良いです。
1窓あたりの工事は2時間程度で終わりますし、金額もそんなに高くありません。
そのうえ、効果を実感しやすく、特に音はすぐ実感できます。

私が一番おすすめする工事方法です!
はつり工法
窓は壁に付いているわけではなく『柱』に付いています。
窓を交換しようと思ったら、壁を壊して、柱から窓を剥ぎ取り、柱に取り付け直し、壁を付けなおし、塗装をし直す必要があります。
この間、窓が入っていた開口部は開きっぱなしになり、いろんな工事業者が入ってくるので期間と費用がかかります。
この、壁を壊して窓を新しくする窓工事を『はつり工法』と呼びます。
メリット:窓の根元から新しくすることができる。サイズは変わらない。開口形態も変えることができる。
デメリット:費用が高い。工事期間が長くなる。
予算:50万円~
開口形態:開け方のこと。詳しくはこちら

予算と時間があれば一番いいのですが、現代ではなかなか難しいですよね…
カバー工法
窓はサッシ+ガラスでできています。
もう少し詳しく見ると、『枠』と『障子』でできています。
枠:柱に取り付いている部分
障子:可動部分。ガラスが組み込まれている。
この障子を外し、新しい窓の枠を、既存の枠に縫い付ける工事方法を『カバー工法』と呼びます。

メリット:はつり工事に比べ費用が安く済む。1日で終わる。外窓を替えることができる。
デメリット:一回り小さくなる。
予算:20万円~
本来はつり工法で交換するのが良いのですが、予算と期間というデメリットがあまりにも大きすぎるので開発されたのが、カバー工法と思っていただければ問題ありません。
ただ、一回り小さくなってしまうというデメリットはあるので、そこは事前に承知しておくのが良いでしょう。
各メーカーも、このデメリットを軽くしようと努力しているので、どんどん良くなっているのは間違いありません。
予算があれば、カバー工法。
予算を押さえたいのなら、内窓。
さらに予算を押さえたいのなら、ガラス交換。
最高のパフォーマンスを期待しないなら、はつり工法。
こんな感じで選ぶといいかもしれません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
普段あんまり見ることのない窓について知ることができたと思っていただければ嬉しいです。
壁のくせに壁の役割を果たせていない窓が日本には多すぎます。
もしご自宅の窓がこのタイプでしたら他の建材・設備よりも真っ先になんとかしてほしいと思っています。
それが結局お金や健康を守ることにつながるのです。
この記事が、みなさんの参考になればうれしいです。

最後までお読みいただきありがとうございます!
また来てください!
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