真空ガラスとは、2枚のガラスの間から空気を抜いて、真空にしたガラスです。
真空ガラスは、断熱性能と遮音性能が非常に優れています。
断熱性能は、一枚ガラスに比べて4倍で、複層ガラスの2倍あり、遮音性能は、防音ガラスと同じくらいです。
窓のリフォームを検討する際、最も重要なものがガラスです。
ガラスは熱を移動させやすく、音も通しやすいうえに、窓において最大の面積を持っています。
その窓ガラスを対策することは、窓や生活空間そのものをグレードアップさせるうえで不可欠な要素となります。

真空ガラスについて詳しくみていきます!
どうやって作るの?
どうやって作るかというと、ガラスとガラスの間に粒状のスペーサーをかませます。

このスペーサーを『マイクロスペーサー』といい、大きさが0.2mmなので、真空層も0.2mmになります。
次に、ガラスの上部の穴から空気を抜き、キャップをつけます。
このキャップを『保護キャップ』といいます。

この、マイクロスペーサーと保護キャップが真空ガラスのデメリットです。
ガラス越しに、マイクロスペーサーが見えるのが気になるかもしれませんし、保護キャップがついているのも気になるかもしれません。
真空ガラスの特徴は?
真空ガラスの最大の特徴が、3mm厚2枚を使った、6.2mm厚という、この薄さです。
一般的に使われている1枚ガラスのサッシに入ります。
真空ガラスの商品名は『スペーシア』です。
断熱性能 : ペアガラスの2倍、一枚ガラスの4倍
遮音性能 : 防音ガラスと同じくらい
一枚ガラスと同じくらいの薄さで、ペアガラスよりも良い断熱性能を持っています。
さらに真空にしてあるため、振動する空気がなく遮音性能も優れています。
基地が近くにある地域の防音対策に使われているガラスです。
今使っているガラスと交換するだけでも十分効果を発揮しますが、内窓と組み合わせるとさらなる効果を発揮します。

真空ガラスにすると得られるメリットは?
真空ガラスにすることで得られるメリットを挙げていきましょう。
結露がしなくなる
冬にガラスが結露することがあると思います。
結露はガラスが冷えることで起こりますが、真空ガラスは結露が出るほど冷えません。
ですので、冬場の結露から解放されますし、結露によるカビも気にしなくてよくなります。
外の音がほとんどしなくなる
音は『db(デシベル)』という単位で表しますが、10db違うと半分、もしくは倍に感じると言われています。
例えば交通量が多い道路やピアノの音は80db、ふつうの会話が60dbくらいですので、生活するうえで気にならない音の大きさは60db以下となっています。
ガラスはサッシとの組み合わせで性能が大きく変わりますが、内窓と組み合わせると40dbほど下げる効果があります。
車の走行音がうるさい場所でも、窓ガラスの性能を上げることで郊外の深夜レベルの静かさを手に入れることができるのです。

画像引用:三協立山(株)三協アルミ社「プラメイクEⅡ」
冷暖房費が削減される
電気代のほとんどはエアコンです。
熱は熱いほうから寒いほうへ移動します。
夏は外から中へ、冬は室内から外へ移動していますが、50%以上は窓から逃げています。
窓を替えることで、東京地区では年間の冷暖房費を43,000円削減することができるのです。

参考:日本板硝子株式会社
室温が一定に保たれるので快適
冬に特に怖いのはヒートショックです。
ヒートショックとは、寒暖差によって血圧が乱高下し、脳や心臓に負担をかけてしまうものです。
最悪亡くなります。
ヒートショックの死亡者数が年間17,000人ほどで、交通事故で亡くなる方が5,000人ほどですので、車よりも家のほうが危ないくらいです。
なんでヒートショックが起こるかというと、部屋によって温度が違いすぎるからです。
リビングは暖かいけど、脱衣所やトイレは寒いという場合はリビングのみ暖房器具で温められている状態です。
しかし熱の逃げ道である窓を塞いでおくと、家全体の温度が保たれます。
これを『断熱』と呼びます。
ヒートショックを例にしましたが、家が一定に暖かいというのはシンプルに快適ですよね。
やっぱり高いんでしょ?
ガラス自体は高いんですが、冷暖房費が下がるので何年で元がとれるという試算が出せます。
スイッチングコストとランニングコストをどう考えるかによりますが、窓への投資は相当コスパが良いと思います。
スペーシアの参考価格は以下
●「スペーシア」 透明6.2ミリ品で材料代として49,500円/㎡程度です。
※なお、一枚のガラス面積が0.3㎡以下の場合は大きさに関係なく1枚あたり23,100円となります。
参考:日本板硝子公式サイト
例えば、窓の大きさが、横幅1600ミリ×縦900ミリの引き違い窓とします。
ガラスの大きさを、横幅800ミリ×縦900ミリ×2枚として計算すると、
式 : 0.8m×0.9m=0.72㎡
0.72㎡×49,500円=35,640円
35,640円×2枚=71,280円
となりますので、大体7~8万円ほどとなります。
東京地域での冷暖房費削減効果は、年間で43,000円ほどですので、2年程度で元が取れる計算になります。
初期費用としてのガラス代は確かに高いですが、それ以降は置いてあるだけで節約になるので、窓のリフォームはかなりコスパが良いものだと思います。

窓を使うのに電気代とかかかりませんからね!
真空ガラスの認定店制度
真空ガラスは本当にいいガラスなので、メーカーもしっかりしたところに取り扱ってほしいと思ってます。
そこで知識や技術を認める「認定店制度」を取っており、認められたお店が「認定店」です。
まず、保証です。
真空ガラスは、間にスペーサーをかませた2枚のガラスですが、何もしてないのに、このスペーサーが落下しているのは不良品です。

メーカーは10年の保証を設けているので、保証で交換してもらえますが、工事をしたのが認定店じゃないと保証が受けられない場合があります。

次に、価格です。
認定店じゃないと、正規の価格で仕入れらえないので高くなります。

認定店の見分け方ですが、HPか名刺に書いてありますよ!
あなたの街のスペーシア認定店を探したい場合はこちらの公式サイトが参考になります。
真空ガラスのグレード
真空ガラスであるスペーシアにはグレードがあります。
その前に簡単に断熱とは何かについて説明させてください。
断熱とは、熱の移動を遮ることをいいます。
アルミ缶とプラスチックの容器を冷蔵庫から取り出したときにアルミ缶のほうが冷たいのは、アルミのほうが断熱性能がないからです。
アルミサッシと樹脂サッシはそれぞれ、アルミとプラスチックで出来ているので、アルミサッシが良くないのは熱を移動させやすいからなのです。
そして、熱の移動の仕方には3種類あります。
伝導 : ものを伝う。フライパンを触ると熱いのはフライパンを熱が通っているからです。
対流 : 液体や気体に乗る。床が冷えるのは、暖かい空気のほうが軽いからです。
放射 : 熱源から直接伝わる。太陽や焚き火が暖かいのは放射として伝わっているからです。
窓を伝わる熱の割合は、
伝導5%
対流20%
放射75% ほどで、ほとんどが放射です。
放射を防ぐことを『遮熱』といいます。
断熱と遮熱の違いは、断熱は3つの伝わり方全部を防ぐことをいい、遮熱は放射にポイントを絞っているというところです。
カーテンやシェードは、太陽光にポイントを絞っているので遮熱がキーワードになってきます。
そして、窓ガラスが放射を防ぐためには『Low-E』と呼ばれる金属膜を貼り付ける必要があります。
Low Emissivityの略で、低放射という意味です。
Low-Eの詳しい紹介はこちらでしておりますので良ければ合わせて読んでみてください。

Low-Eは緑や青がかっているものが多いです!

クリアfit
【低グレード】
Low-Eの加工をしていない真空ガラス
真空層があるので遮音性能は他のグレードと変わりません。
内窓と組み合わせると断熱効果と遮音効果の両方を実感できますが、外の窓に使うのは少し心もとない感じがします。
※2025年3月をもって販売終了しました。
スペーシア
【標準グレード】
Low-Eの加工をしてある真空ガラス
外の窓ガラスにも使えますし、内窓とも組み合わせられるグレードです。
悩んだらこのグレードにしておけば安心できます。
参考価格:49,500円/㎡
スペーシアクール
【高級グレード】
標準グレードよりも遮熱効果の高いLow-Eが使われている真空ガラス
遮熱性能が高いということは、断熱性能が高いということです。
より保温効果があるので、金銭的に余裕があればこのグレードが良いでしょう。
ただ、内窓に使うと断熱性能が良くなりすぎて、外の窓ガラスに負担をかけてしまう場合があるので注意が必要です。
参考価格:52,800円/㎡
まとめ
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
真空ガラスは建材の中でも特に特別な技術で作られているガラスで、人によっては精密機械に例えたりしていました。
空気を抜く技術や真空を維持する技術が、記事の中で紹介した『保護キャップ』や『マイクロスペーサー』で、これが見えてしまうというのがデメリットでもあります。
しかし、このデメリットがどうしても嫌だという人には出会ったことがありません。
ほぼ全員、メリットの遮音や断熱に感動してくれます。

あなたの生活の参考になればうれしいです!