窓は『壁』に取り付いているわけではなく、『柱』に付いています。
柱を建て⇒窓を取り付け⇒壁で仕上げる順番で家は建つのです。
つまり、窓を新しくしようと思ったら壁を壊す必要があるのです。
壁を破壊し、柱に付いている窓を剥ぎ取る手順となります。
この工事方法を『窓のはつり工事』と呼びます。
はつり工事は、工期が5日くらいかかる上に費用もかかります。
壁破壊業者、窓取り付け業者、壁取り付け業者、塗装業者という感じで、基本的に大工さんがやりますが、複数の手順が発生してしまうのです。
こうなると時間とお金がかかりますよね。
この時間とお金問題をクリアできる工事方法こそ『窓のカバー工事』なのです。
この記事では『窓のカバー工事』について詳しく紹介します。
はつり工事のメリットとカバー工事のデメリットも見ていきますので、窓のリフォームを検討している方は判断材料として参考にしていただけると幸いです。
窓のカバー工事とは?
窓は大きく2つの部材で構成されています。
『枠』と『障子』です。
枠とは、まさに柱に取り付いている部分
障子とは、可動部分
この認識で大丈夫です。


この障子部分を取り外し、既存の枠に新規の枠を取り付ける工事をカバー工事といいます。

カバー工事のメリット
カバー工事のメリット紹介の前に、窓のリフォームをすることのメリットを挙げておきましょう。
ちなみにデメリットは特にありません。
しいて言うならお金がかかるというくらいです。
- 断熱化により快適になる
- 断熱化により冷暖房効率が良くなり、電気代が減る
- 冬の結露がほとんどなくなる
- 結露がなくなれば、掃除やカビの心配がなくなる
- 底冷えがほとんどなくなる
- 開閉が楽になる
- 開口形態(開け方)も変えられる
- 歪み改善により、すき間風がなくなる
- 遮音効果があるので、外からも内からも音の心配が減る
- 見た目がきれいになる
ざっとこれくらいあります。
これらについての詳しい紹介は別の記事で紹介しているので、興味があれば読んでみてください。
このメリットを得るために、『窓のはつり工事』と『窓のカバー工事』があるので、2つを比較して工事のメリットを挙げます。
カバー工事のメリットは
- 1日で終わる
- はつり工事に比べて安い
です。
1日で終わる
窓のカバー工事は、1窓あたり1日で終わります。
ですので、何日も立ち会う必要もありませんし、その日のうちに効果を実感できます。
はつり工事の場合は、壁破壊⇒窓取り外し⇒窓取り付け⇒壁直し⇒塗装という手順でやりますので5日くらいは必要です。
この間、壁に穴が開いている状態になりますので別の場所に避難しなければなりません。
少し大がかりな工事となってしまいます。
一方、カバー工事の場合は、可動部分の取り外し⇒新規枠の縫い付けの手順でやりますので工程がめちゃくちゃシンプルです。
もちろん、歪み調整や防水処理、可動部分の調整など細かい処理・調整が入りますので、おおよそ1日かかります。
はつり工事に比べて安い
上記の通り、はつり工事は工程と業者が多く入ります。
これに対してカバー工事は、窓業者1社ですので安く済むのです。
工事の費用は大体の場合『人工(にんく)』で計算されます。
人工とは、工事に入る人数です。
1日に2人必要な工事では、2人工と表しますし、
2日に渡り2人必要な工事は、4人工となります。
午前中で終わっても、午後から始めても、動く人数で計算する場合がほとんどです。
はつり工事は、2~3人が4~5日となるので10人工程かかりますが、
カバー工事の場合は、1~2人が1日ですので最大2人工です。
どういう場合2人必要かというと、大きくて重たい窓の場合や搬入が大変な二階の工事だと2人必要です。
窓の本数が多いと4人が1~2日で入る、という感じで計算していきますので、材料費とは別に工事の費用も見てみると良いでしょう。
カバー工事のデメリット
カバー工事のデメリットは
- 一回り小さくなること
- 工事できない窓があること
です。
一回り小さくなる

最近のカバー工事用窓は、新規の枠の見える部分(立上がり)を小さくしようと努力していますが、最初のうちは気になると思います。
採光や眺望にもほんの少し影響があって、外を見た時になんとなく小さく見えるかもしれません。
普段から窓を気にかけて生活している方は違和感があると思いますが、だいたい数日で慣れます。
あまりありませんが、今付いている既存の窓が小さすぎる場合はカバー工事できないこともあります。
この、少し小さくなるというデメリットを解決する工事が『はつり工事』です。
柱から外したサイズの窓を新たに付けますので、新旧でサイズが変わりません。
これが、はつり工事の最大のメリットです。
できない窓がある
異形(いけい)と呼ばれる特殊な形をしている窓にはカバー工事ができません。
異形の窓とは、丸型や台形の窓です。
他にも、出窓や窓と窓の間に仕切りがある窓もカバー工事ができません。
こういう窓の場合は、はつり工事で土台から変えていくことになります。

別の工事方法
窓を工事する方法として、『はつり工事』と『カバー工事』を紹介してみました。
この他にも2つ方法があります。
『ガラス交換』と『内窓』です。
ガラス交換とは?
窓とは何を指すかご存じですか?
窓=サッシ+ガラス
です。


サッシとは、アルミや樹脂でできている部分で『枠』と『障子の四方』を指します。
ガラスは説明不要ですね。
実は、このガラスのみを交換することができるのです。
これを、ガラス交換といいます。
そのままですね。
リフォームが必要なガラスは、単板と呼ばれる3~5mmの1枚ガラスのことです。
2枚のガラスの間に空気やガスを入れたものを複層ガラスと呼びます。
複層ガラスの厚みは18mm以上のものがほとんどですので、ふつうに入れては入りません。
そこでおすすめしたいのが『真空ガラス』です。
複層ガラスよりも断熱性能と遮音性能が高いくせに、厚みは6.2mmなので1枚ガラスのサッシに入ります。
ガラス交換や真空ガラスについては別の記事で詳しく紹介しておりますので興味があれば読んでみてください。

内窓とは?
窓の四方を囲っているこの部分を『窓枠』といいます。

ちょっとした小物やぬいぐるみを置いていたりするかもしれません。
この窓枠の内側にぴったり納まるように設置する窓を『内窓』と呼びます。
外の窓(外窓)と合わせると二重になるので、この状態を『二重窓』と呼びます。
「二重窓にするために内窓を設置する」という言い方が正しいのですが、内窓も二重窓も同じことを言っています。

窓のリフォームで最もコスパが良いのが『内窓』です。
工事は2~3時間で終わりますし、カバー工法より製品代が安いです。
ガラス交換はガラスのみの交換になるので、アルミフレームは変わらないというデメリットがありますが、内窓は樹脂でできた窓を窓枠にはめるので、開口部ごと性能を挙げられます。
さらに、二重状態になるので、想像以上の遮音性能があります。
ただ、外の窓はそのままですので対処療法的な感じはしますし、窓を開けるときに2回開ける必要があるというデメリットもあります。
室内側に窓が入り込んでいる状態でもありますので、初めのうちは圧迫感のような違和感を感じるかもしれません。
それも大体は数日で慣れます。
内窓の記事はこちら
各工事の比較
カバー工事 | はつり工事 | 内窓 | ガラス交換 | |
手軽さ | 〇 | × | ◎ | ◎ |
費用 | 〇 | × | ◎ | ◎ |
性能向上 | ◎ | ◎ | ◎ | △ |
種類 | ◎ | ◎ | 〇 | △ |
既存の状態 | 〇 | ◎ | 〇 | 〇 |
快適さ | ◎ | ◎ | 〇 | 〇 |
上記表は、各工事を比較してみたものです。
バランスが良いのがカバー工法ということがわかります。
手軽さ、費用から得られるメリットが大きいうえ、一回り小さくなるというデメリット以外悪いことがありません。
窓のリフォームを考え始めたら、まずは軸をカバー工法にしてみることをおすすめします。
「工事期間」と「費用」さえなんとかなれば、はつり工事が良いです。
おおもとの原因である古い窓を直接替えるので、結局シンプルに一番効果があります。
ただ、みなさん忙しいでしょうし、お金にそんなに余裕がない人も多いと思いますので、そのデメリットをカバーするのがカバー工事です。
内窓は、窓リフォームおいてコスパが一番いいです。
安くて、早くて、性能向上も問題なしという優れものです。
手軽に快適になりたいという場合は内窓が良いと思います。
内窓選びのポイントは何と言ってもガラスです。
内窓と組み合わせるガラスによって得られる性能が大きく変わりますので、気になるようでしたら別の記事をチェックしてみてください。
ガラス交換をおすすめしたい状況は結構限定的です。
「ヒビが入っているから、交換ついでに性能をあげたい」
「建物が古く、窓周りの歪みがひどいので、カバー工事も内窓もできない」
こういう場合はガラス交換が良いです。
私の個人的な意見としては、ガラス交換をするなら内窓を付けたほうがいいと思います。
ちなみに、さきほど紹介した真空ガラスは内窓とも組み合わせることができるのですが、内窓+真空ガラスの組み合わせは最も効果があります。
もちろん、ガラスを交換するだけでも効果を実感することができますので、選択肢として持っておくのが良いと思います。
なぜなら、窓において、ガラスの面積が一番大きいからです。
費用 | カバー工事 | はつり工事 | 内窓 | ガラス交換 |
大きめ | 25~30万程度 | 50万程度 | 10万程度 | 5万~ |
小さめ | 20万程度 | 30万程度 | 5万程度 | 3万~ |
費用は大体こんな感じです。
リフォームの価格が難しいのは定価がないからです。
製品の場合は、大きさ・グレードによって金額は変わりますし、工事も、搬入のしやすさ・追加部材の要不要によって変わってきます。
リフォームの流れや注意点はこちらで詳しく紹介してますので、よければチェックしてみてください。
「窓のリフォーム高っ!」って声が聞こえてきました。
たしかに、めちゃくちゃ高いです。
でも、断熱性能が上がると冷暖房費が下がるのは一番初めに紹介させていただきましたね。
参考までに、ガラスを真空ガラスにした場合、年間で4万円くらいの削減効果があります。
カバーなら?内窓なら?と計算してみると、何年で元がとれるという試算が出せますよね。
スイッチングコストが高いだけで、窓にはランニングコストはかかりません。
置きっぱなしで節約になる上に快適になるので、窓のリフォームは長期的にみると相当コスパが良いのです。
たとえば、エアコンは27度に設定した場合、冷房は27度まで下げて、暖房は27度まで上げるようにできています。
つまり、室温が27度であればエアコンの消費電力はそんなにかかりません。
この室温を一定に保つことを『断熱』といいます。
家の断熱の足を引っ張っているのは窓です。
壁や床を触ってもちょっとしか冷たくないのに、窓を触るとめちゃくちゃ冷たいのはもう欠陥住宅だと思ったほうが良いくらいなのです。
家に不満を感じるようでしたら、窓をまっさきにチェックしてみてください。

まとめ
最後までご覧いただきありがとうございました。
窓のリフォームのメリットと、各工事のメリット・デメリットを知っていただければ嬉しいです。
住宅で一番熱が逃げる場所が『窓』です。
その割に窓にはスポットライトがあたりません。
だいたいエアコンなんかの家電やカーテンなんかの家具でなんとかしようとします。
でも窓は交換することができるのです。
まずは、窓は交換することができる、この認識を持っていただくことが快適な生活を作っていくうえで重要なポイントだと思います。
このサイトが、みなさんの快適生活の一助になればこれほどうれしいことはありません。